今日まで集英社新書の
英仏百年戦争
を読んでいました。
こりゃすごく面白い!と思える本だったので
ちょっとだけ感想でも書いてみます。
英仏百年戦争といえば中世ヨーロッパにおける
イングランドとフランスの威信を賭けた戦争という感じですが
この本では国同士の戦いというよりもフランスにおける
領主同士の単なる領土の奪い合いから戦争を通して
ナショナリズムというか国という一個の概念が生まれてきて
近世の英仏という別個の独自の歴史文化を持った国が
完成したという流れを上手く書かれた本だと思います。
ノルマンディ公がイングランドを征服して英国王位を獲得したけど
実際はフランス語を話すフランス人がイングランドの王冠を取得しただけで
本分はあくまでフランス王の諸侯に過ぎないノルマンディ公であり
イングランドはあくまで植民地?であったこと。
(うちの嫁さんはノルマンコンクエストを描いたバイユーのタペストリーを
見た事があるらしいけど、あまり興味は無かったようで
私としてはすごくうらやましい限りですが)
そしてやはり有力諸侯ではあったがフランスの一諸侯に過ぎなかった
アンジュー伯が血縁を通じイングランド王位・ノルマンディ公位、
そして私の大好きなアリエノール・ダキテーヌとの婚姻を通じて
アキテーヌまで手に入れてプランタジュネ家が主君である
フランス王カペー家よりも強大な力を持つようになった事が
百年戦争の原因になったことは否めません。
この本では英仏王共にフランス人であったことが強調されてますが
なるほど考えてみればその通り!
プランタジネット朝って直系でフランス人じゃん。
おまけにロンドンの王宮でもフランス語を話していたというし
イングランドの経営よりはフランス国内に点在する領土のほうに
比重を置いていたというのも面白い。
まあ要はイングランド王とフランス王の戦争だから
国同士の戦争だと思わすわけで
イングランド王も英国としてフランスと争ったわけじゃなくて
ノルマンディ・アンジュー・アキテーヌの領主として
名目上、臣従しているフランス王から
領土を守る内乱とも思えます。
まあこの時代はフランス王も王冠を持っているとはいえ
有力諸侯と同じような感じで
しかも血縁により領土を増やしたイングランド王より
領土が狭かったとあればイングランド王もフランス王に
臣下の礼なんてしたくはなかったでしょう。
でもこの領主同士の争いが国という意識を国王のみならず国民にも
植え付けさせ英仏という別個の国家が完成していくという
役割りを果たすというのも面白い話です。
また百年戦争の登場人物達は実に面白い人たちで
最初にフランス王ルイ7世、そしてルイ7世と離婚して
アキテーヌ公領を持参しアンジュー伯アンリと再婚し
アンリはノルマンディー・イングランド、そしてアキテーヌまで手に入れて
ルイ7世を凌駕するようになったこと。
でも子供達が折角の大領土をバラバラにして大人しくはなるが
フランス王家カペー朝直系が断絶してヴァロア朝がフランス王位を引き継ぐと
血縁でカペー直系に近いイングランド王エドワード3世がフランス王位を要求。
さらには旧領復活も目指しフランス全土で戦争を広げていったこと。
そこにシャルル5世という優れたフランス王が現れイングランド軍を駆逐。
しかし、フランスの親王家であるブルゴーニュ公がフランス王家と対立し
一気にイングランド優勢、でも最後にジャンヌ・ダルクが現れ
イングランド軍は退却していき、
結果としてイングランド・フランスという国家が
正式に成立したという終わり方。
事実は小説より奇なりと言いますが
やはりこの百年戦争史は事実だけあってとても読み応えがあります。
やはり戦争の裏には女性有りってことで
この本はアエリノール・ダキテーヌ、イザボー・ド・バヴィエール、マルグリット・ダンジューなど
魅力的な女性にはあまり触れられていませんが
百年戦争をいきなり通史っぽく読むのは疲れるという人には
まず上記の女性の話を読んだりすると面白く入り込めると思います。
余談ですがヨーロッパの人たちの名前って国によって
かなり違いますが結局は語源は同じようなものなので
たまに国別名前変換クイズを嫁さんとやったりします。
ヘンリー=アンリ=ハインリヒ
チャールズ=シャルル=カール
エドワード=エデュアール=エデュアルト?
ジョージ=ジョルジュ=ゲオルグ
ルイス=ルイ=ルートヴィヒ
リチャード=リシャール=リヒアルト?
ウィリアム=ギョーム=ヴィルヘルム
マリー・アントワネットも祖国ではアリア・アントニアだってか?英語読みではメアリ。
ちなみに愛称はミリー(昔飼ってた犬の名前・笑)リズとかベッキーも愛称か。
そういえばパリにジョルジュサンクという場所があるけどジョージ5世だし
JALの機内モニターだとセント・ピーターズ・バーグって書いてあって
どこだよ?と思ったらサンクト・ペテルスブルクだし。
ちなみに天皇を表す帝(みかど)はイスラエルのガド族から(こりゃ飛鳥本か)
まあなんにせよ日本の方言よりは共通性ありそう。
でも知り合いのペルー人はスペイン語・ポルトガル語・イタリア語は分かっても
英語やフランス語はあまり分からないと言ってたな(日本語はベラベラだけど)